Web業者なりのTwitter不具合の考察と対処法
Twitterの障害が社会の関心事になっている様子。
うちはお客様のSNS運用も業務として行っているため、気になる話題です。
Twitterの現状と今後の展望が気になったので、調べたことをまとめてみます。
もくじ
突然の閲覧投稿数制限
7月1日から発生しているTwitterの機能不全。
Twitter社のCTO(執行会長兼最高技術責任者)であるイーロン・マスク氏は以下のように自身のアカウントでツイートしました。
To address extreme levels of data scraping & system manipulation, we’ve applied the following temporary limits:
– Verified accounts are limited to reading 6000 posts/day
– Unverified accounts to 600 posts/day
– New unverified accounts to 300/day
翻訳すると…
極端なレベルのデータスクレイピングとシステム操作に対処するために、次の一時的な制限を適用しました。
– 認証済みアカウントは、1日あたり6,000件の投稿を閲覧できるように制限されています
– 未認証アカウントは、1日あたり600件まで
– 新しい未認証アカウントは、1日あたり300件まで
(WEB)スクレイピングとは、簡単にいうとボットやクローラーのような自動的にデータを取得・解析するプログラムを用いて、サイトから情報を抽出すること。
現状は制限数が変更され、未認証アカウントで1日1,000件までに変更済みとの噂がありますが、証左を示すデータは見つかりませんでした。
ちなみに閲覧投稿数のカウントについて説明すると、Twitterではアカウントのホーム・タイムライン・リスト・検索結果表示いずれにおいても、それぞれを開くと自動的に100件を取得。取得した100件のうち一部を表示するようなしくみになっています。
スクロールをどれだけしたか、どれだけツイートが表示されたかとは無関係に、読み込んだ時点で100件カウントされています。
だから1,000件といってもわずか数件のツイートを見たところで制限がかかるといったことも起こりえます。
すぐに数分単位で見れなくなるという状況はこのようなしくみが原因です。
ツイート、リプライ、いいね、DMも送信できない不具合も発生!
ちまたでにぎわっている閲覧できない状況ですが、実は私のスマホ環境では確認できませんでした。
とはいえ!ツイートが何度送信ボタンを押してもエラーとなり送信できません。
ついでに返信もフォローバックもできない…。
日頃の検索スキルを活かして調査したところ、私のような障害に見舞われているお仲間さんも結構いることが判明しました。
ほかにも、現状確認できる不具合内容をあげると
- (API)制限がかかり閲覧できない
- 投稿できない
- リプライ(=返信)できない
- フォロー/フォローバックができない
- DMが送信できない
- いいねを押しても反映されない
かなり大きなトラブルですね。
不具合の内容や解消時期には個人差があるようですが、その条件や違いについての詳細な説明は今のところありません。
フォロワーさんやいただくコメントが多い方ほど、ツイート制限がかかりやすい気がします。
バグ(大規模障害)情報が登場
閲覧制限をかけたというマスク氏の投稿とは違ってツイートもできない状態に陥った私は、実情を知りたくて情報収集しました。
すると、こんなニュースが…。
「Twitter障害はスクレイピングではなく“自己DDoS”が原因?」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2307/02/news036.html
記事によると、アメリカのフリーランスWEBエンジニアであるシェルドン・チャンさんが、致命的なエラーが生じていることを確認したとのこと。
え?ええ?
私はWEBエンジニアといっても、この手のシステム関係についてはさっぱり。
それでも全く異業種の一般ユーザーよりはWEB用語に慣れているであろうから、簡単に説明をかみ砕いてみようと思います。
シェルドン・チャンさんの投稿内容は
「おかしいな。TwitterがセルフDDos攻撃を行っているようだ!Twitter自身が内部で1秒につき10件も(データの)リクエストを送信している。これってイーロンが未ログインの状態でTwitterを閲覧できないようシステム改変しようとしたからだよね。そのせいでエンジニアが想定しえなかった地獄のようなエラーが発生してるよ。信じられない素人(仕事)だ。」
WEB界隈以外の方には???な内容だと思いますが、要するに想定外の致命的なエラーが確認できたということです。
DDos攻撃とは
DDoos(ディードス)攻撃とはDistributed Denial of Service attackの略。
サーバー攻撃の一種で、サーバーダウンを引き起こし、業務の停止によって大きな経済的被害が生じる恐ろしい攻撃と知られています。
複数の端末からサーバーの処理能力をはるかに超えるリクエストが一斉に送信され、処理不能に陥らせます。
Twitterが内部のシステムエラーによって自社に攻撃を起こしている状態だとしたら…世界レベルの大規模な障害ってことになります。
当然緊急の対処が必要であり、その対策としてアクセス制限なども不可避であることが考えられます。
私自身その真偽を確かめる技量はないけれど、閲覧制限だけでなく、投稿・返信・フォローなどいろいろな不具合が生じていることからも気になる情報です。
今回の恣意的制限?はたまた大規模障害?の原因を考察してみる
原因や対処について情報を収集していく中で、いくつか気になる予備知識が備わりました。
❶優秀なエンジニアの人材不足
イーロン・マスク氏がTwitterを買収し、CEOに就任したのは去年の10月末です。
就任当時のTwitter全従業員数は7500人。就任直後、氏は当時のCEOを含め役員と75%の従業員を解雇したと報じられています。
その中にはデータエンジニアチームの全エンジニアも含まれていたとのこと。
❷APIなど大規模なシステム改変
3月30日には、APIの有料化を開始しました。
認証マーク騒動があったことを覚えている方も多いと思います。
APIとは何かを説明するのは難しいですが、Twitterのシステムや広告など外部のシステムと連携させるために欠かせない大切なものです。
この改変に伴い、大きなシステム変更があったことは間違いありません。
この頃から実際Twitter内の動作環境も頻繁に変更されたり不具合が生じはじめたりが始まったように思います。
❸パートナーへの支払い滞納
6月11日、Twitterがサーバー契約を結んでいたGoogleおよびAmazonへの支払い滞納があるとニュースになりました。
Google・Amazonがいわば「Twitterのインフラ」を支えていた状態でしたが、Googleが未納であるTwitterへのサービス提供を中断した可能性も考えられるようです。
未納問題については、自社サーバーへの移行説や支払い手続き進行説など様々な情報が飛び交っていますが、本当のところはわかりませんでした。
❹マスク氏のCEO退任と新CEOによる新体制始動
6月13日、イーロン・マスク氏はTwitterのCEOを退任しCTOに、新CEOにはヤッカリーノ氏が就任したとのこと。
プロダクトチームとエンジニアリングチームは引き続きマスク氏が率いるそうですが、それ以外は新CEOのヤッカリーノ氏が監督。ヤッカリーノ氏は「Twitter2.0」の構築を目指しているのだとか。
新体制へ移行するためのシステム改変の影響もありそうです。
❺システム障害
前述のとおり自己DDos攻撃という致命的なシステムエラーを引き起こしている可能性は、情報提供者の動画を見る限り、濃厚な気がします。
そのほかにも、私自身ここ最近、Twitterの通知欄をみると無限にコンテンツがループ表示されるという不具合に実際遭遇していました。
以上のような要素が複合して、現状の状態に陥っているのかもしれないというのが現状の推察です。
不具合の対処方法
閲覧制限に関しては、TwitterDeckというTwitterの公式Webアプリを利用すると問題が解消されるようです。
TwitterDeckはアプリですが、PCブラウザで利用するのであればダウンロードは不要で、TwitterDeckの公式ページから利用できます。スマホの場合は、スマホでTwitterDeckを利用するための専用アプリ「MarinDeck
for TweetDeck」の導入が必要です。
ツイートできない、フォローできないなどその他の不具合解消については、完全にTwitterのシステム状況次第なので、外部の私たちができる対策はなく、ただ静観して待つしかありません。
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※2023.07.04追記
前述したTwitterDeckですが、4日現在すでにこちらも利用制限が発生しているとの情報がありました。
また仮にTwitterDeckが使えても、TwitterDeck自体来月には認証バッジ同様有料サービスとなるようです。
そこで別の対処方法を考えてみました。
- 閲覧数制限がかかった場合は、ダメ元でTwitterDeckをトライしてみる。
- ツイート/返信/DM/フォロー・フォローバックができない場合は、アカウント名に「アカウント名+●●できない」という風に状況を伝える説明文を加える。
あるいは少々面倒ですが、プロフィール説明文を書き換えたり、状況や利用中の別のSNSへの誘導案内など伝えたいことを記したプロフィール画像に差し替える。
くらいでしょうか。
特に対処を考えなくても復帰を待てば良いという方もいると思いますが、ビジネス利用している方などで困っている方は参考にしてみてください。
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Twitterの代替アプリ
もしもTwitterの使いづらさが解消されなければ…
こんな考えがよぎっている方も多いと思います。
以下は、Twitterの代替となりえる類似アプリの一覧です。
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Bluesky
Twitterの共同創業者であるジャック・ドーシーらが発案した新たな分散型SNS
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Misskey
日本発の分散型ミニブログ用のオープンソースソフトウェア
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Mastodon(マストドン)
ドイツ発ミニブログサービスを提供するためのSNS
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Nostr
Twitterの創設者のひとりであるジャック・ドーシー氏が投資開発した分散型ネットワークプロトコル
このほか、Facebook/Instagramを運営するMeta社創業者であり現CEOのザッカーバーグ氏も7月中旬ごろTwitterの競合アプリ「Threads」をリリース予定と発表していますが、今のところいずれかに人気が集中しているわけではないので、様子見をしている方が多いように思います。
(※7月4日Threadsについて、最後尾に追記しました。)
もしも今後、囁かれているとおり本当にユーザーのTwitter離れが加速するなら、そのときの動向をみて判断されると良いかもしれません。
普段から仲良くしているフォロワーさんや推しのインフルエンサーさんの動向や、発信されるニュースを気にかけておきましょう。
Twitterの今後
知りえた情報と推察したことを絡めて考えてみると、今回の不具合が完全に修復されるタイミングもわからなければ、たとえ修復されても、しばらくはTwitterの改変や不具合は続きそうな予感。
また、現状制限や不具合もなくいつも通りTwitterを利用できている方も今後不具合に直面する可能性がありそうです。
今回のイレギュラーな環境は、広告表示、SNS運用などビジネス利用している企業様には大ダメージです。お知らせや広告を見てもらえなければ、お金をかける理由も運用に時間をさく理由もなくなります。
今や情報インフラとして存在しているTwitterには、企業アカウントのほかにも有名人アカウントや行政アカウントなどが多数存在しており、情報を頼りにしていた一般ユーザーも多いと思います。
閲覧ができなければTwitterの強みであるフレッシュな情報を得ることができないし、投稿・返信・フォローができなければ凍結などペナルティーを受けたのと同じ状況です。
今回の事態でも、まとまった数のユーザーさんが離れる/離れたことは想像が難しくないし、この先も続いたり繰り返したりされるようなら、いよいよいわゆる「オワコン」になってしまうかもしれません。
7ヶ月前、ホリエモンさんやひろゆきさんなどIT出身の著名人がイーロン・マスク氏のTwitterCEO就任を歓迎し、手腕を評価していましたが、将来はどうなるでしょうか?
余談ですが、マスク氏がTwitterから手を引かない限りTwitterの未来には期待できない、というのが公共・行政など国家レベル事業のエンジニアをしている私の弟の意見でした。
慎重に見守る必要がありそうです。
MetaがTwitter対抗アプリ「Threads(スレッズ)」の提供を開始
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※2023.07.04追記
Twitter対抗アプリとしてMetaが開発した「Threads」が、iPhone/Androidともに予定を前倒しして7月6日にローンチ(=サービス提供開始)することが発表されました。
なんというタイミング!
様子見のために登録してみる人で溢れそうです。
個人的にTwitter民の引っ越し先や避難場所になるかどうかは、Twitterの大きな魅力である匿名性の有無と、フォロー/フォロワーでなくともコミュニケーションを図れるかどうかではないかが重要なカギになると予想しています。
Instagramでは「連絡先にある●●さんが××さんという名前でInstagramを利用されています」というような通知が表示されますが、新サービスThreadsにも同じような通知機能があるなら、実生活の繋がりとSNSでのアカウントが紐づいてしまうかもしれません。
Twitterで趣味、愚痴など知人・友人・家族には知られたくないプライベート情報を呟いている方にとっては、身バレは避けたいでしょう…。
アナウンスされた情報では既存のInstagramアカウントをそのまま利用できるとのことなので、気になる方は注意する必要がありそうです。
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